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ICU・なつのブログ
逗子・鎌倉

隈研吾が手がける英国アンティーク博物館【BAM鎌倉】に行ってきた!!【感想・レビュー】

BAM-kamakura

こんにちは、なつです!

このブログでは、逗子移住について情報発信をしています。

なつ
なつ
なつは、逗子在住の宅地建物取引士だよ。

2020年に都内から逗子に引っ越してきて、一人暮らしをしているよ。

逗子のお隣の鎌倉に新しくオープンした、英国アンティーク博物館【BAM鎌倉】に行ってきました。

英国の古き貴重なアンティーク品の数々、リアルに再現された「シャーロック・ホームズの部屋」など、短い時間では周りきれないレベルで驚いたので、その感想を残します。

ちなみに、現地のミュージアムショップで売られている博物館ができるまでのストーリー本(=『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』)と、シャーロックホームズの部屋の間取りを紹介している本(=『シャーロック・ホームズの建築』)を随所で引用させていただきます。

*引用多めです!

BAM kamakura Books参考文献。

基礎情報

こちらの博物館ができることは事前にニュースで知っていたので、前売り入場券を購入し、オープンの日を今か今かと待ち望んでいました。

BAM kamakura open flowerオープン初日には、たくさんのお祝いのお花が並んでいた。

私自身、イギリスに留学していた時期もあり、イギリスの文化や建築物にはずっと興味を持っていて、シャーロックホームズは小さい頃から「名探偵コナン」の影響で大好きになりました。

Baker street 221B引用元: 『シャーロック・ホームズの建築』

所在地

神奈川県鎌倉市雪ノ下1-11-4-1

交通アクセス

電車・バスの場合:
JR横須賀線 鎌倉駅 東口より徒歩7分、鶴岡八幡宮より徒歩1分)

車の場合:
駐車場はありません。お近くのコインパーキングに停める必要があります。

実は、BAMの建っている場所は、北条氏の邸宅の跡地のようです。

BAMを建てる場所は、北条氏の邸宅の跡地なのですが、段葛(*だんかずら)は当時もう少し広かったようです。

つまり、旧段葛と邸宅を分け隔てる場所、その境界を支える土台も出てきました。

それが出てきたときに鎌倉市の調査が入ったのですが、その土台だった木をどうするのか聞いてみたところ、廃棄するというのです。

800年前の邸宅に使われていた可能性のある木を捨ててしまうというので、「もったいない、もらっていいですか」ということで引き取りました。

*段葛(だんかずら)とは、若宮大路の中央を走る歩道のこと。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

建築工事の時に出てきた800年前の木材は、博物館4階の茶室の壁に再利用されているとのことです。

こういうところにも、博物館のテーマである「物や人を引き継ぐ素晴らしさ、大切さを多くの方に感じ取ってもらいたい」という考えが反映されていると思いました。

開館時間

開館時間: 10時~17時(変更になる場合あり)
※月曜日休館(祝日の場合は開館)

入場料金: 2022年9月時点

大人 1,300円
中学・高校生 1,000円
小学生 500円
幼児 無料

博物館について

館内マップ

floor map BAM kamakura引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』
1階 ビンテージ(1950〜1990年)London Taxi/Black Cab
2階 ジョージアン時代(1714〜1837年)The Georgian Room
3階 コナンの生きた時代(1859〜1930年)Sherlock Holmes’s Room
4階 ヴィクトリア朝(1837〜1901年)The Victorian Room

1階にはロンドンのブラックキャブカフェを置いて、2階はジョージアン時代の古いローソクの光と、シルバー(銀食器)とお茶の文化を堪能してもらいます。

3階は探偵のシャーロックホームズ。ヴィクトリア時代の部屋を再現しています。

4階はヴィクトリア女王の時代なので、ヴィクトリア時代の家具、そして楽器。ピアノ、オルガン、ハープ、蓄音機を並べます。その一番奥が、茶室。

時代とテーマで部屋を作っていこうというのがコンセプトです。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

BAM kamakura london cab正面に停められているロンドンのブラックキャブ

1階には受付と、ミュージアムショップが併設されています。

「シャーロックホームズ博物館ロンドン」限定の公式グッズも販売されているので、見ているだけでもまるで英国に旅行した気分になります。

ミュージアムショップの商品はこちらから事前に確認できます。

BAM kamakura shop

4階の茶室の窓からは、鶴岡八幡宮の鳥居と裏山の風景が見え、自然の掛け軸を堪能できるような仕掛けがなされています。

BAM kamakura tea roomBAM鎌倉の4階の茶室。
BAM kamakura tea room引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

この中でも、シャーロックホームズ・ホームズの部屋を特にピックアップします。

シャーロック・ホームズの部屋について

一応、シャーロック・ホームズについて簡単にご紹介します。

Baker street entranceBAM鎌倉3階のシャーロックホームズの部屋。

シャーロック・ホームズとは

シャーロック・ホームズは、英国の名探偵である。アーサー・コナン・ドイルの小説のキャラクターで、世界中で探偵の代名詞として知られている。

引用元: 『シャーロック・ホームズの建築』

ホームズの活躍した時代

ホームズが活躍したのは主にヴィクトリア朝の末期、つまり19世紀の終わりごろ。日本だと明治の後期ぐらいに当たる。鉄道線路を走るのは蒸気機関車、道路を走るのは馬車、照明はガス灯、という時代だ。

引用元: 『シャーロック・ホームズの建築

BAM kamakura homes booksBAM鎌倉には、シャーロックホームズの初版が展示されいる。

世界で一番有名な住所、ベイカー街221B

シャーロックホームズの相棒かつ記録係を務めたのは、医者のジョン・H・ワトスン博士。

ワトスンは軍医として第二次アフガン戦争に従軍していたが、傷痍軍人として帰国。プライベート・ホテルで暮らしていたが財政的に困窮。

そんな際に旧知のスタンフォードとばったり出会い、下宿の家賃を折半できる同居人を探している人物がいる、と聞いて飛びついた。

その人物こそがシャーロックホームズで、その下宿こそ、ベイカー街221Bだったのである。

221Bの「B」は「2番目」の意味で、221に住所がふたつあることを表している。

引用元: 『シャーロック・ホームズの建築』

さらに詳しく、説明。

第一作『緋色の研究』からこの住所(建物)が登場する。

一戸建てではない共同住宅(いわゆるテラスハウス)の一画で、大家はハドスン夫人。

1階におそらくハドスン夫人の部屋があり、階上をホームズたちに賃貸している。

2階の大部分が居間で、ホームズの寝室はそれに隣り合っているようだ。

また、ワトスンの寝室は、「ソア橋の難問」「緑柱石の宝冠」の記述から3階にあると推測されている。

居間はふたりが寛ぐ空間であると同時に、ホームズが依頼人から話を聞く仕事の場にもなっている。

引用元: 『シャーロック・ホームズの建築』

BAM鎌倉は、このシャーロックホームズの部屋を忠実に再現しています。

ベイカー街のサイン

3階フロアに入ると、ヴィクトリア時代のアンティークドアと貴重なBaker Streetオリジナルのサイン、ガス灯が目に入る。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

肘掛け椅子

ホームズが依頼人を座らせていたのが、物語に度々登場する「肘掛椅子」だ。

この椅子は特定の名称は記載されていないが、ロンドンのシャーロックホームズ博物館を見習い、BAM鎌倉でもウォールナットやマホガニーのアンティークシングルソファをシンメトリーに配置している。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

BAM kamakura homesBAM鎌倉では、シャーロックホームズの部屋が見事に再現されている。

VRの文字

部屋には有名なVRの弾痕の文字も飾られています。

1階から2階に上がる階段は「十七段」だとホームズが語っている(「ボヘミアの醜聞」)。

居間の壁には、ホームズが室内で射撃をして弾痕で書いた「 V.R.」の文字(ヴィクトリア女王を意味するVictoria Reginaの略号)がある。

これらはベイカー街221Bにおける忘れてはいけない要素だ。

引用元: 『シャーロック・ホームズの建築』

部屋の間取り

ホームズの部屋の間取りが実際にはどんなものだったのか、参考になる図を引用します。

Home's room 1221Bの間取り。リフォーム前。

著書によると、ベイカー街221Bは増床された説をとって、リフォーム前後の間取り図が示されています。

テラスハウスの隣のお部屋が空いたので、そこを買い取って増床したという説です。

Home's room 2221Bの間取り。リフォーム後。

BAM鎌倉でも、暖炉の前に、ホームズの肘掛け椅子が置いてあることに注目です。
こういった細かいところが再現されているところに、本気度が伺えます。

館長さんについて

貴重なアンティークの品々を集めるのは、相当の根気と人脈、そして財力があってこそ。
一体どんな人が博物館の館長さんなのか、気になりました。

土橋正臣さん

1966年生まれ。

長崎大学薬学部大学院修了。ファイザー中央研究所の研究員を経て、2007年株式会社ファーマブリッジを設立。

また、大学院卒業後に初訪問したイギリスの文化に衝撃を受け、2012年鎌倉アンティークスを設立。英国アンティーク輸入やイギリス関連イベントのコーディネートを手がける。

日本一のロンドンタクシーコレクターとして、本物のブラックキャブを年代別に所有する。また、長年の夢であった「英国アンティーク博物館」を鎌倉の参道に建設し、”No Antique No Life”をスローガンに掲げ、古き良きものを継承する啓蒙活動を続けている。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

博物館のコンセプト/テーマ

BAM鎌倉の大きなテーマは、
OLD&NEW 過去は新しい、
モノを引き継ぎ、ヒトを引き継ぐ

私が20代の頃、初めて訪れたイギリスで知った古き良きものを大切にする文化。

それを英国アンティークというコレクションを通して次の世代に伝えたい。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

隈研吾さんと鎌倉

鎌倉は僕にとって特別な場所である。

その地の中学・高校に通って、多感な6年間を過ごした。

鎌倉のおかげで、歴史というものに関心を持つようになった。仏像ひとつひとつに、寺の建築物ひとつひとつの中に、歴史が生きているのを感じた。

鎌倉では歴史は死んだものではなく、過去と現代とがひとつにつながっていた。

そのシームレスな感覚を大事にしながら、僕は時間を超えることのできる建築を作りたいと、ずっと考えてきた。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

鎌倉の鶴岡八幡宮の参道は、隈研吾さんにとって青春の大切な散歩道だと、おっしゃています。

建築の観点

BAM kamakura 私が訪問した時。BAM鎌倉の外観。
BAM kamakura night夜にはこんな風にライトアップされるみたい。

建物の正面のファサードは、木材を使って特徴的なでこぼこの形状になっています。このでこぼこは、「鎌倉彫り」という、ノミを使って木を削り、そこに漆を塗るという伝統技能から着想を得ているとのこと。

鎌倉は、日本で初めての武家政権である。

貴族文化にはない、たくましく力強い文化がそのノミの痕跡から伝わってくるように僕は感じた。

そのノミ跡はまた、由比ヶ浜の海面のさざ波をも想起させてくれた。

海岸とノミ跡とが、僕の中で響き合い、英国と鎌倉が共振した。

その結果が、このミュージアムの表現となった。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

そして、木材を使うのは、鎌倉の風景との親和性を大事にしているからだそうです。

ファサードには、鶴岡八幡宮をはじめとした古い木造建築や段葛(*だんかずら)の桜並木との親和性を考えて木を使うことはすぐに決まった。

*段葛(だんかずら):若宮大路の中央を走る歩道のこと。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

感想

感想/レビュー

*内容が凄すぎて、30分見ても時間が足りない。
*国宝級の展示物が多く、豪華絢爛な博物館。
*リアルに再現された、シャーロックホームズの部屋は特に注目。
*建物自体も素晴らしい、隈研吾さんの建築。
*入場チケット1300円という値段は、十分価値のある博物館。

最後に、館長の土橋さんの言葉を引用させていただきます。

館長 土橋さんの思い

未来に向けて、英国のアンティークを超えて、古きよきものや人を引き継いでいくということをBAMから発信していきたいと思います。

ぜひ皆さん、鎌倉の街に来た時には、食べ歩きだけではなく、文化に触れていただきたいと思います。

引用元: 『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

補足

BAM鎌倉のすぐ隣に、朝7時から営業している「VERVE COFFEE 鎌倉雪の下」があります。ここで、朝食を食べてから、博物館に行くのもいい休日の過ごしかたになりそうだと思いました。

VERVE coffee yukinoshita毎日朝7時から営業している人気のお店。

補足その2

BAM鎌倉の館内BGMは、2階に展示されている大きな「ジョージアンハープ」を実際に演奏した音色だそう。

私が行った時は、展示物ばかりに目を取られて、 BGMに耳を傾ける余裕がなかったのでちょっと後悔。

それと、階段の段数がホームズの「十七段」になっているのか検証するのも忘れていたのも、ちょっとした反省点。

参考文献

本記事を執筆するにあたり、下記の文献を参考にさせていただきました。

1.『隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳』

監修:隈研吾、著者:土橋正臣、写真:森日出夫

2. 『シャーロック・ホームズの建築』

文:北原尚彦、絵/図: 村山隆司

ABOUT ME
なつ
2010年代にICUを卒業し、今は大阪に暮らしています。卒業生の立場からICUについて書いたり、時々旅行や考えことについても発信しています。大阪の前は神奈川県逗子に住んでました。