Header 20210903
ICU・なつのブログ
ゆるっと雑談

メキシコ旅行の振り返り【人生論】

こんにちは。
なつです。
今日はメキシコ旅行の振り返りの話をします。

2023年1月に9日間の休暇をとり、メキシコへ旅行に行きました。
日本に帰国後、友人に旅行のことを話すと「メキシコってどんな場所?」「旅行はどうだった?」と聞かれることが多かったので、ここで少し話をしてみたいと思います。

旅行のスケジュール

【1日目】
大阪伊丹空港⇨成田へ。
その後成田⇨メキシコシティへ(フライト15時間)
メキシコシティで乗り換え。
メキシコシティ⇨カンクンへ(フライト3時間)
カンクンのホテルに宿泊。

【2日目】
カンクンのホテルにて1日ゆっくり

cancun-beachホテル前にあるビーチでゆっくりすごす

【3日目】
カンクン⇨オアハカへ(途中メキシコシティでフライト乗り換え)
オアハカのホテルに宿泊。

オアハカのホテル

【4日目】
オアハカ滞在。
乗合タクシーでオコトランの青空市へ。
オアハカのホテルに宿泊。

オコトランの青空市

【5日目】
オアハカ滞在。
古代遺跡「モンテ・アルバン」のツアーに参加。
夕食はトルティージャを食べました。
オアハカのホテルに宿泊。

【6日目】
午前中はオアハカ滞在。
午後オアハカ⇨メキシコシティへ(フライト1時間)
メキシコシティのホテルに宿泊。

クイーンルーム私の泊まったクイーンルームのお部屋
ホテルの様子
【2023年1月宿泊記】メキシコシティの有名ホテル「Downtown Mexico」の感想:17世紀のコロニアル建築を体感! メキシコシティは、メキシコの首都です。 日本〜メキシコシティ間は、ANAの直行便が出ています。 平均フライト時間は、...

【7日目】
メキシコシティ滞在。
建築マニア必見の「ヴァスコンセロス図書館」を見学。
宇宙船みたいな建物「ソウマヤ美術館」も見学。
メキシコシティのホテルに宿泊。

ヴァスコンセロス図書館

【8日目】
メキシコシティ滞在。実質最終日。
世界遺産の建物「ルイス・バラガン邸」見学ツアーに参加。
グアダルーペ寺院を見学。
25:00にメキシコシティ⇨成田へ(フライト19時間)

ルイスバラガン邸のダイニングルーム

【9日目】
午前6:45に成田着。
成田⇨大阪(伊丹)へ。

どうしてメキシコを旅行先に選んだのか?

正直なところ、メキシコは第二候補でした。

第一候補はオーストラリアのシドニーに行きたいと思っていました。オーストラリアは南半球なので、1月は夏の季節。

私の計画していた1月の日本は冬で寒すぎたので、せっかく海外に行くなら暖かい国でゆっくりしたい。
そう思ってシドニー行きのチケットを予約していたのですが、空席待ちの状態で予約が埋まっており断念。
その結果、候補に上がったのがハワイ、メキシコ。
ハワイが最高な場所なのは百も承知ですが、どうせならリゾートだけでなく、一人旅もしてみたい。
ハワイはリゾート地のイメージが強かったので、今回はメキシコにしました。
メキシコは、海沿いのリゾート地の「カンクン」だけでなく、遺跡や街歩きが楽しい「メキシコシティ」「オアハカ」「グアナファト」などの都市もあります。

そして気候。
メキシコは北半球にあるので、暑い時期、寒い時期も日本と同じ。
乾季と雨季のシーズンがあり、5月〜10月が雨季、11月〜4月が乾季です。
旅行シーズンは、乾季。私の訪れた1月は乾季でしたが、一度も雨が降らず、旅行中はずっと晴れの日でした。

中央広場(ソカロ)中央広場(ソカロ)も歩いてすぐの場所!

気温について。
一応長袖・コートも持って行きました。コートはほぼ使わず。
メキシコシティとオアハカは昼間半袖で十分なくらい暖かく、夜は少し肌寒く長袖が必要。昼間は25度くらい。
カンクンも昼間は25度くらいで、水着で過ごせる気温でした。日焼けをしたいと思いずっと外で過ごしていましたが、汗だくになるくらい暖かい気温でした。

今回のメキシコ旅行で個人的に一番印象的だったのは、メキシコシティの世界遺産ルイス・バラガン邸。著名建築家バラガン氏の自宅兼スタジオを見学するツアーに参加しました。
ガイドブックに載っていたバラガン邸のツアーに興味本位で予約したので、ほぼ事前知識ほぼゼロでした。以下簡単な感想。

バラガン邸の感想

① 正面玄関
バラガン邸の外観は、とても質素です。コンクリート打ちっぱなし。
バラガン邸に招かれた私は、まず小さな玄関から細い廊下に案内されました。
この廊下には、ほとんど光がありません。照明は天井に隠された場所に一つだけ。
暗がりと静けさを感じる空間。

バラガン邸の正面入り口
玄関から入ってすぐの廊下

② 内部の小さな玄関

廊下を抜けると、今度は内部の小さな玄関に出ました。
ピンクの壁が印象的ですが、バラガン氏はこの壁の色を決めるのに、相当な苦心したようです。

廊下を出たら、小さな玄関に案内されました。


正面玄関⇨廊下⇨内部の玄関は一貫して、暗がりの中にうっすら日光が入る程の空間を進みました。
そして、ダイニングルームに案内されましたが、部屋に入るとまず高いパーティションがあり視界が遮られます。
この一呼吸を置いてから、広い空間に出ます。
天井高はとても高く、大きな窓と明るい光の入るダイニングルームに出ます。

ルイスバラガン邸のダイニングルーム
天井がとても高い
ダイニングルーム(外から)

④日本との関わり
居心地の良さ/静けさ/安らぎを感じるダイニングルーム。
なぜそう感じるのだろう、と日本帰国後に思索していると、バラガン氏の建築の土台として1975年初版の谷崎潤一郎「陰翳礼賛」(いんえいらいさん)があると知りました。
著作を読んでみました。

陰翳礼讃(文庫本)

⑤暗がりの中の光
著書の中で、日本座敷の魅力が書いてあります。

日本座敷の建物(や寺院)の、奥の奥の部屋に行くと、もう全く外の光りが届かなくなった暗がりの中にある金屏風が、幾間を隔てた遠い遠い庭の明りの穂先を捉えて、ぽうっと夢のように照らしているのを見たことはないか。
引用元:『陰翳礼賛』谷崎潤一郎

その照り返しは、夕暮れの地平線のように、あたりの闇へ実に弱々しい金色の明りを投げかけているのであるが、私は黄金と云うものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う。… 現代の人は明るい家に住んでいるので、こう云う黄金の美しさを知らない。

⑤暗がりの中にも美がある
バラガン氏は、敬虔なキリスト教だったとのことで、バラガン邸の中にも祈りや瞑想する部屋が設けてありました。
現地ガイドさん曰わく、バラガン氏は人間が安らぐには「完全な暗がり」が必要だと考えており、天井に照明を付けるのも嫌がったそうだ。どの部屋にも、部屋の隅っこには必ず光の届かない「暗がり」があります。

バラガン邸を訪れてみて、建築だけでなく、人間も暗い部分があってもいいのではと感じるようになりました。
イルミネーションのようなキラキラした部分だけでなく、暗がりの中にあるぽうっとした奥行きのある鈍い光、そうした暗い部分・弱い部分も大事。
自分だけでなく相手の弱い部分も受け入れてあげられる人になろう。

メキシコの漁師の話

日本に帰国した後、メキシコ旅行を振り返っていて、以前読んだ書籍に書いていたメキシコの漁師の話を思い出しました。

cancun-beach

メキシコの漁師が1日に2〜3時間しか働かず、太陽の下でワインを飲んだり、友達と楽器を演奏したりして過ごしている。それを見て愕然としたアメリカ人のビジネスマンは、漁師に勝手なアドバイスをする。
「もっとたくさん働きなさい、そうすれば利益で大きな漁船をたくさん買って、他人を雇って漁をさせ、何百万ドルも稼いで、さっさと引退することができる」
それを聞いた漁師は「引退して何をするって言うんだ?」と尋ねる。
ビジネスマンはそれに答えて言う。
「太陽の下でワインを飲んだり、友達と楽器を演奏したりできるじゃないか」

引用元:『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著

現在の限りある時間を将来の幸福に向かうため道具にしてしまいがちなのを反省。

とはいえ、小さい頃から、こんな未来志向の考え方を持っていて、それが原動力・向上心になっていたのも事実です。
「いつかこの高校・大学に合格したら」「いつかこの資格を取ったら」「いつか仕事が落ち着いてきたら」その時初めて本当の人生が生きられるのではという考え方。
でもそんな考え方をしていたらいつまでたっても、先延ばしばかりで満たされることがなかった気がしています。

教育について考えてみればいい。まるで詐欺だ。まだ幼い子供の頃から保育園に入れられる。保育園に入ったら一年生の準備、一年生になったら二年生の準備。そうやって高校まで行ったら、今度は大学に行く準備だ。そして大学では、ビジネスの世界に出る準備をしろと言われる。こんな人生、顔の前にぶら下がったニンジンを追いかけるロバみたいなものだ。誰もここにいない。誰もそこに辿り着けない。誰も人生を生きていないんだ。

引用元:『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著

一人旅をすることの醍醐味はこういった振り返りの時間を持つことだと思います。

人生は有限であり、生まれ育った家を訪れたり、海で泳いだり、恋をしたり、親しい友人と深い話をすることにもいつか終わりが来る。そして僕たちはたいてい「これが最後」と気付かないまま、その時を過ごしてしまう。時間は訪れては去っていき、僕たちの残り時間はどんどん少なくなる。この貴重な瞬間を、いつか先の時点のための踏み台としてぞんざいに扱うなんて、あまりにも愚かな行為ではないか。

引用元:『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン著

仕事を辞めるにしても、子供を持つにしても、家を買うにしても同じだ。迷っているうちは不安でいっぱいかもしれないが、思い切って決めてしまえば、不安は消えてなくなる。進むべき方向はただ一つ。自分が選び取った未来に向かって前進するだけだ。

オアハカの公園で過ごす夕方

メキシコのオアハカでは、小さな公園のベンチに座って、夕方を過ごしました。
おもちゃの車を運転したり、トランポリンで楽しんだりして遊ぶ小さな子供。
それを側で見守るご両親。

oaxaca-sunsetオアハカの夕方
オアハカの公園。おもちゃの車に乗って遊ぶ子たち
オアハカの公園で絵を描く子供と、それを見守るお父さん。

一人でいることは自由ですよね。
自分で働いて稼いだお金を使って、自分で好きな場所に、好きな時間に行くことができるし。
でもその自由な時間は、家族と過ごす平凡な幸せな時間を手放しているとも考えられます。限られた時間はトレードオフの関係にあるのだから。

ジブリ映画のワンシーン

ジブリ映画「風立ちぬ」の中で好きなワンシーンがあります。
そのワンシーンは、イタリア人の航空技術者カプローニが主人公・二郎に語りかける場面です。

創造的な人生の持ち時間は10年だ。設計家も芸術家も同じだ。君の10年を力を尽くして生きなさい。

引用元:『風立ちぬ』スタジオジブリ

主人公に語りかけるカプローニ

私が好きなのは「力を尽くして生きる」という部分です。
生きていれば山あり谷ありですが、それでも一生懸命に生きてる優しい人がたくさんいる。
私も自分のイメージ通りに順風満帆な人生を生きることは難しいのですが、一生懸命に力を尽くして生きることはできる!と思っています。

自分の中の、好きな部分も暗い部分も、持ちながら懸命に生きる。
10年は長いようで短い。力を尽くして生きてみよう。

メキシコ旅行の2ヶ月後、春の足音が聞こえてきた季節に。大阪の自宅にて。

追記:

本記事を執筆している3月は卒業式、卒園式のシーズン。私の職場の上司は、終わらない仕事の合間を見て、娘さんの卒園式に出席するべく、仕事を調整してやりくり。

子どもの将来のために、頑張って働いて貯金してあげるのも親心。

それと同じくらいに、子どもにとって大事なのは、まさに「今」、お父さん・お母さんが自分の卒園式に出てくれることだったりする。

正解はないけど、誰かにとっての貴重な「今」を蔑ろにしないような生き方ができればいいな。

ABOUT ME
なつ
2010年代にICUを卒業し、今は大阪に暮らしています。卒業生の立場からICUについて書いたり、時々旅行や考えことについても発信しています。大阪の前は神奈川県逗子に住んでました。